＜不登校＞新型コロナ禍では不登校の子はいっそう再登校しにくくなるの？

連日新型コロナウイルス感染症に罹患された人数を気にし、残念ながら死亡される方もたくさんおられるなど不幸尽くしの「新型コロナ禍」ですが、実は、不登校や不登校気味の子の中には今回の新型コロナ禍の解釈の仕方によっては再登校・安定登校に向けて少なからず再登校・安定登校の出助けとなる要素があります。

それは、「マスクの着用」と「(給食・お弁当の)黙食」を代表とする新型コロナ対策です。これらは特に「対人恐怖症・社会不安障害(S.A.D.)」に悩む子たちにとっては、これまで感じてきた緊張感・恐怖心を軽減してくれる効果があります。「マスク」の効果は極端に例えれば「着ぐるみ」を着た感覚に似ています。自分自身を隠す部分が多くなればなるほど自分自身だと悟られにくくなり、まるで別人になったかのようになりふり構わず振舞うことができます。マスクは着ぐるみほどではありませんが、顔の約半分が隠れることによって、自分を意識しすぎること(＝自意識過剰)が緩和され、目の前の相手から受ける恐怖心をずいぶんと軽減させることができるのです。「黙食」の効果は、これまで対面形式で席を並び替えていたクラスでも、全員が授業と同じように前を向いて食べるようになるだけでなく、おしゃべりまでもが禁止されるようになりました。お陰で「みんなの話題についていけない」「会話の中に入れない」と悩んでいた子もずいぶんと気が楽になるはずです。

今も新型コロナの感染対策を重視し、学校によってはリモート授業に切り替えたり、発熱がなくても登校かリモート授業かを選択できるなど、ずいぶんと融通も利くようになっているようです。受験シーズンならなおさらリモート授業を選ぶ子が増えることでしょう。このようなリモート授業も多少は不登校・不登校気味の子にとってはプラスになっているかもしれません。

このように、恐怖心や緊張感が強かったり話術に自信がないといった子にとって、通常授業時よりは登校のハードルは低くなっているのですが、当の本人はなかなかそこまで気が回らず、とにかく「学校が怖い」「人と話せない」など、ネガティブな思考から抜け出せないままの子が多いようです。そこで親御さん(父親・母親)の出番です。上記の状況を子どもさんにお伝えいただくことで、今の状況をプラスに転じさせることができるのです。

ただし、実際に声かけをされる前に注意すべき点があります。私ども不登校専門のカウンセラーの立場から親御さんの行動パターン分析したところ、「今は〇〇だから気にしなくていいんだよ」と安心させようとしたり、「今がチャンスだからがんばれ！」と励ましというか、説得口調になってしまう親御さんが多いようです。ここはしっかりと子どもさんの性格を分析し、この状況をどのように伝えれば本人が受け入れやすくなるのか、これまでの日常会話のやりとりを参考にし、しっかりと分析してからお話しいただくことを強くお勧めいたします。